いざコムローイ祭りへ
コムローイ祭りは毎年11月に仏教の儀式の一つとして、ブッタへの感謝の気持ちを込めて、コムローイと呼ばれる紙製のランタンに火をつけて空へと飛ばすお祭り。
ディズニー映画「ラプンツェル」のランタン祭りのモデルになったことで、一躍有名になったのだとか。
年末年始にプーケットの海岸でコムローイを打ち上げてから、このコムローイ祭りに参加したいと思い情報収集をしていたのだ。
コムローイ祭りが有名になって観光客が殺到し、観光客向けの大きなイベントが複数の会場で行われるようになったそうで、どの会場のチケットを手配するか悩むところから始まった。
一番歴史のある、メージョー大学の近くで開催される「イーペンランナー・インターナショナル」は、一番参加者数が多くランタンの数が多くて見ごたえがあるようで第一候補。
次いで参加者の数が多く、花火も上がってイベント感が強そうなのがメーリム地区で開催される「イーペンランナー・メーリム」。
メーリムの方は8月頃にはチケット販売が開始されていたのだが、インターナショナルの方は政府から開催許可がなかなか降りないらしく、販売が開始されていなかった。
9月20日まで様子見をしていたのだが、メーリムの残席が残り少なくなってきたというので「イーペンランナー・メーリム」のチケットを手配することにした。
チケット手配は、メールで開催状況の案内を頻繁にくれた「ランベルツアー」にお願いした。
ちなみに「イーペン・ランナー・インターナショナル」の開催が決定し、チケットが発売されたのは9月29日だったので、もう少し待っても良かったかもしれない。
大混雑のチェンマイと非常識な観光客
当日は午後5時前後にチェンマイ旧市街のメルキュールホテルで受付をして、送迎バスで移動なのだが、チェンマイ市内は大渋滞でメルキュールホテルへの移動だけでも大変。
さらにメルキュールホテルは複数のツアーが受付に指定しているようで、ロビーで受付をして送迎バスに乗るために長蛇の列に並ぶ。
そこかしこから日本語の会話が聞こえてくるので、ほとんどが日本人だと思われた。
途中で「後ろに並んだほうがいいんじゃない?」「入っちゃって大丈夫大丈夫」とかいう会話が聞こえた後、自分達のすぐ前に2人の若い女性が当然のような顔で割り込んできた。
日本人なんだろうけど、海外なので一応英語で後ろに並ぶよう伝えると、日本語で「さっきまでここにいた!!ちょっと前の様子を見に行ってただけ!!」と強い口調で反論してきた。
その2人が前に並んでいたかどうかなんて記憶にないし、仮にそうだとしても1人を列に残しておくとか、「ちょっとだけ抜けますけど、すぐ戻ってきますので」と声を掛けるとか、せめて割り込む前に事情を説明するとか配慮があって然るべきだろう。
そんなことを伝えても理解してくれるような感じでは無いし、そもそも相手の土俵に立って議論したくないので英語で適当にあしらうと、英語が分からなかったであろう2人は諦めて列の後ろの方へ歩いていった。
旅の恥はかき捨てとは言うが、こういう観光客が海外で日本人の評判を下げるのはやめてもらいたい。
モヤモヤした気分で受付を済ませて送迎バスの乗り込むと、30分ほどで会場に到着。
広々とした会場
会場の入り口で、ツアー業者からチケットと記念品を受け取って会場の中へ。
広々とした会場は、椅子が立ち並ぶメイン会場と出店が立ち並ぶ飲食エリアに分かれていた。
メイン会場の座席は指定席なので特に慌てる必要はなく、飲食エリアで腹ごしらえ。
食べ放題なので色々なタイ料理にチャレンジしてみるも、「これはうまい」という程の料理に出会えず残念だった。
会場の奥にはクラトンと呼ばれる灯籠を流す「ロイクラトン」の体験が出来るようなのでそちらへ向かう。
灯篭流し – ロイクラトン
会場の奥の小川ではロイクラトンと呼ばれる灯籠流しが行われており、小川の手前でチケットを渡して1人1つずつクラトンをもらった。
クラトンは葉や花を組み合わせて作られており、花を模したものや鳥を模したものなどいろいろと種類があったようだが、ツアー会社毎に決まっているようだった。
花を模したクラトンを受け取って、設置してある燭台で線香とキャンドルに火を灯して川に流す。
数多くのクラトンが水面に浮かび、キャンドルの灯りが煌めいてとても幻想的だった。
のだが、あまり川の流れが無いようでクラトンが川辺に溜まってしまったり、キャンドルが倒れて煙をあげるクラトンがあったりと、ちょっと残念なところも。
メイン会場のイベント
まもなくメイン会場でイベントが始まり、指定座席へ移動。
座席にはコムローイが2つ置かれていて、期待が高まる。
ステージ前のプレミアム席では無かったので、指定席からはステージのダンスや太鼓の演奏の様子が遠目でしか見られなかったのだが、伝統舞踊や迫力のある太鼓の演奏を楽しむことが出来た。
コムローイ打ち上げの時間が近づくと、仏教のお祭りということで寺院の高僧がステージに並び、読経が始まった。
やはり日本のお経とは違うなと思いながら、退屈し始めた娘をあやしているとようやく読経が終わったらしい。
5ヶ国語で順番にコムローイを飛ばす手順の案内があった。
ポイントは、コムローイをしっかり広げて着火剤に火を付けた後、コムローイの中の空気が十分に温まるまで我慢強く待つこと。
空気が温まらないまま飛ばそうとしても浮力が出ず空に飛んでいかないばかりか、低空を滑空して人に火が当たるなどして危ないのだ。
通路の要所要所に設置されていた燭台にいつの間にか火が灯っており、娘と一緒にコムローイに火を付けて、中の空気が温まるのを待つ。
準備がうまく出来ない人にはすかさず係の人が手助けに入っていて、サポート体制もしっかりしているようだ。
ただし、「当局からの実施許可を待っているのでまだ飛ばさないで」と5ヶ国語で再三アナウンスがあったにも関わらず、先走って飛ばす人がいたのが残念。
幻想的なコムローイ打ち上げ
まもなくカウントダウンのアナウンスがあり、一斉に打ち上げ。
何百ものコムローイが一斉に打ち上がり、花火も相まって予想以上に幻想的な風景が目の前に広がった。
2回のカウントダウンがあったが、2~3人で1つ打ち上げるのでまだまだコムローイは余っており、カウントダウンの後も思い思いのタイミングでコムローイが次々に打ち上がり、途切れることは無かった。
自分は、コムローイをあげたり写真を撮ったりビデオを撮ったり大忙し。
この日のために購入したと言っても過言ではないデジタル一眼(Sony α7III)と広角レンズ(SIGMA 14-24mm 1:2.8 DG DN)がいい仕事をしてくれた。
ちなみに席の間隔が狭くて危ないと書いているブログもあったが、特にそのような危険は感じなかった。(端の方の座席だったからもしれないが。)
中には十分にコムローイの空気が温まらないまま打ち上げている人がいて、燃え上がっているコムローイが多少あったが、すぐに係員が消火にあたっていた。
娘は「来年も絶対また来る!」と興奮しきり、感動しきりという感じ。
自分もまた来たいと願いながら、空高く消えていくコムローイをしばらく見上げていた。
帰りは絶対混みあうと思い、終了のアナウンスと同時に出口へ。
割と前の方に並べたが係員の列の誘導がわかりにくく、係員を日本語で怒鳴り散らす日本人がいたりして感動の余韻が台無し。
海外で日本と同様のサービスが受けられて当然という意識も問題だし、怒鳴り散らす品性の無さに同じ日本人かと目を覆いたくなった。
最後にケチがついてしまったが、感動の絶景を見ることが出来て本当に良かった。