アートダイブ12に参加することに
妻は生地を切ってつまんで作る「つまみ細工」を趣味にしており、趣味が高じて髪飾りなどを作って売ったり、作り方を教える教室を開いたりしている。
そんな妻が、同じくつまみ細工を作っている友人と「アートダイブ」という手づくり作品の展示即売会に出店したいと言ってきた。
実際に作品をいろんな人に見てもらって会話したり、作品を対面で売るというのは良い機会になるし、子育てのストレス発散にも良いだろうと思い二つ返事で了承した。
そのイベントを数日後に控えたある日、その友人の都合が悪くなったので出店を手伝って欲しいと頼まれた。
元々留守番のつもりだったし、家庭内平和の為にもこちらも了承。
当日の荷物の運搬と移動には、その友人の旦那さんが車を出してくれた。
休日に奥様サービスをする夫という共通項を見出して勝手に親近感を抱いていると、会場のインテックス大阪に到着。
搬入口に車を付けてもらい手分けして荷物をブースへ運び込むと、お店の設営を開始する。
割り当てられたブースは入り口正面の絶好のポイントで、広さも一般ブースの2倍あり申し分無かった。
二人で出店するので奮発したとのこと。
レンタルしたという机を通路に面してL字に配置し、布をかぶせ、展示用ボードを組み立て、品物を並べていく。
初めての出店にしてはなかなか手際良く進められたのではないだろうか。
設営が大体完了したところで、スペースの地面にレジャーシートを敷いて、靴を脱いでくつろぐ。
着物を着て呼び込みを任された娘はもうやる気満々で、まだ始まっていないのに「いらっしゃいませー。どうぞごらんくださいませー。」と呼び込みを始めていた。
この日の為に用意したという名刺を配る練習にも余念が無いようだ。
11時になると開場し、続々とお客さんが入ってくる。
おっさんがアクセサリー売り場で接客しても逆効果だろうと考え、接客は妻と娘に任せて自分は会場を回ることにした。
芸術家の集うアートエリア
会場はハンドメイドエリアとイラスト&アートエリアに分かれており、まずは手近なイラスト&アートエリアのライブペイントブースへ。
そこでは10人程のアーティストがそれぞれのブースで絵を描き始めたところだった。
人が絵を描くところを生で観るというのはあまりない経験ということもあり、足を止めて暫し眺めることにした。
筆を使わず指で書く人、いきなり細かいところから描き始める人など様々。
会場をうろうろする度にこのブースに戻ってきて、千変万化のイラスト達を堪能した。
イラスト&アートの販売ブースでは色んな作風のイラストやポストカードが所狭しと並んでいたが、絵画の良いところはぱっと見て好きかそうでないかが分かるところだ。
気になるイラストや作風を見かけては足を止めてイラストやポストカードを物色し、気に入ったものがあれば買い求めた。
アトリエココさんの飛び出すアートは、光と影も計算された作品で目を引いた。
娘は実紀さんの創作キャラクターが気に入ったようで、いろいろと悩んだ末にキャラクターのシールを買っていた。
大抵のブースでは名刺も配られていたのだが、名刺にも様々な工夫が凝らされていて、名刺を見ているだけでも面白い。
面白いものが発掘出来るハンドメイドエリア
ハンドメイドエリアではアクセサリーを販売する店が多かったが、こちらでも気になる物を見かけては足を止めて物色した。
[JIN]ガラスさんで見かけたガラス玉は、その中にまるで宇宙や別の空間が広がっているような作品で、見惚れてしまった。
ガラスを作る時に金などの鉱物を混ぜ込むことでこのような作品が出来ると伺ったが、綺麗なものを作り出すのにはそれなりに手間がかかるのだそうだ。
お値段もその手間を加味したものになっており、予算オーバーだったので購入は出来なかったのだが非常に興味深かった。
タンポポの綿毛をインテリアにしたDandelion-Popoさんの作品も興味深い。
通常であれば風が吹けば飛んでしまう綿毛も、加工すれば綺麗なインテリアに。 その発想はなかった。
この春先は、一年分のタンポポの綿毛を採取するのにとてもお忙しいらしい。
完全な形のタンポポの綿毛を採取するのも一苦労だろう。
ヨーロッパの古雑貨をアクセサリーに仕立て直しているkotokotoさんでは、ソ連の古い腕時計の心臓部を使ったピンバッジが目に止まった。
機械式時計に目がなく、わざわざ心臓部が見える時計を見つけて買ったこともある自分としては、これはもう買うしか無いという一品だった。
女性用の時計をリメイクしたものなど大きさやタイプがいくつかあったので小一時間悩み、どうせなら目立つ方が良いと大きめのものを購入。
お値段がリーズナブルだったことも、即購入の一因だった。
妻のブースのお隣は歯車のアクセサリーやペーパークラフトを販売されているYoshidaFactoryさんで2日間仲良くして頂いたのだが、
その精巧な紙模型の展示には行き交う人が度々足を止めて感嘆の声を漏らしていた。
そんな一品が自室の展示スペースにあってもいいかと思い、2日間のお礼も兼ねて購入。
まだ組み立てられていないが、時間を見つけて製作に取り組みたい。
まだまだいろんなお店を見て回ったのだが、見て回るだけでもとても楽しかった。
缶バッジとスタンプラリー
イベントの公式ブースの1つにPICOさんのブースがあり、その場で描いたイラストを100円で缶バッジにしてくれるという催しをやっていた。
娘は早速缶バッジを作ってもらい、2日間ずっとそれを付けていたほど気に入ったようだ。
会場ではスタンプラリーと抽選のイベントが行われており、前述のPICOさん含め、公式ブースの2箇所でスタンプを集め、応募BOXに入れると1日1回の抽選会で豪華賞品が当たるというもの。
せっかくなので娘とスタンプラリーをして抽選箱に申込用紙を入れ、抽選会に臨んだ。
1日目は何も当たらず、しょんぼりする娘を「明日当たるといいね」と励ました。
2日目の抽選会。
「次は缶バッジ30個無料作成券です。」
当たった人は缶バッジ30個も作るの大変だろうなーと思って見ていると、抽選ボックスから紙が一枚取り出され、なんと娘の名前が読み上げられた。
最前列に陣取っていた娘は、これまでの人生で一番ではないかと言うほどの大きなはっきりした声で返事をして手を上げ、満面の笑みで引換券をもらっていた。
その後も娘は相当嬉しかったようで「缶バッジ30個!どうしよう!!」と大はしゃぎで連呼していた。
当日に30個のイラストを描いて作らないといけないのかと危惧したが、説明を聞くと後日イラストを送れば良いらしい。
早速イラストを描き始める娘を横目に、娘が30枚のイラストを作成するまで今のやる気が続く訳がないと考え至り、さて自分用にどんな缶バッジを作ろうと思案し始めた。
戦利品
そんなこんなでブースを見て回って、疲れたら妻の店の裏で休んで、時々娘を連れ出したり店番を交代したりしながら2日間が過ぎた。
最終的な戦利品は、気に入ったイラストのポストカード7枚、アンティーク時計のピンバッヂ、そしてお隣のブースで買い求めた飛行客船のペーパークラフトとあいなった。
実際にその作品を作成された方といろいろと会話をしてその作品を買うことで、単純にその辺のお店で買うのとは作品に対する思い入れが違うものだと感じた。
今日の戦利品については、今日の思い出と共に大切にしていきたい。
娘にもシールやキーホルダー、髪留めなどをついつい買ってしまったが、妻のお手伝いを頑張ったご褒美としては十分だろう。
妻の方は期待していた程売れなかったようだが、大勢のお客さんとつまみ細工の話をし、名刺や教室のビラが配れて充実していたようだ。
また折を見て、このようなイベントに参加してみたい。
いつか自分も何かを作り出す側になって、出店してみるのも面白いかもしれない。